今回の三重県透析研究会学術集会は第60回を迎える記念すべき会です。2019に発生した新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に世界のすべての国に感染をひろげ、そして足掛け5年ものあいだ日本の社会に蔓延し続けました。今年の5月、政府が5類感染症に移行しやっと落ち着きを見せ始めました。完全ではないですがコロナ禍前の生活に戻りつつあります。
コロナ禍のあおりを受け、この学術集会は、第57回は、紙面上の開催となり、それぞれの演題発表を行うことが出来ませんでした。第58回はコロナ感染症の拡大により1年延期になり、WEB開催となりました。第59回も感染が収まらず2年続けてWEB開催となりました。4年間、通常の開催が出来ませんでした。今回、5類感染症に移行したことを受け、5年振りに、皆様が開催会場にご参集して頂き、従来の顔の見える学術集会を再開することとしました。
三重県透析研究会の目的は、透析および関連諸分野の研究を推し進め、三重県下の透析技術の発展と成績の向上を求め、透析患者様の生活の質を改善することを目的としています。現在、本研究会には三重県内のほとんどの透析施設が施設会員として参加しております。各施設は、日々努力と研鑽を重ねておられます。この三重透析研究会学術集会が、各施設の発展の一助になれば幸いに存じます。
今回は、『透析治療の中のエコーの役割』をテーマにしました。近年、エコーの技術的進歩は目覚ましく性能やモニターの解像度が上がり、サイズもコンパクトになり、移動が容易になり、透析治療でなくてはならない必須のアイテムと言えます。シャントPTAにおいても現在、透視下PTAよりエコー下PTAで行うことが主流となりつつあります。今回、特別講演には、VAIVT(シャントPTA)で全国的に著名な春口洋昭先生(飯田橋 春口クリニック)と小林大樹先生(関西ろうさい病院、中央検査部)の2名の先生を招聘し最新のエコーを用いたシャント管理を教えて頂こうと思います。春口先生と小林先生の講演が同時に聞ける機会は非常に稀なことです。参加すればシャント管理について知識と実力がつくのは間違いありません。是非、参加して頂くことをお勧めします。
現在、透析技術の進歩は急速であり、また、患者様より当然のように高い治療レベルを求められています。加えて、医師、看護師、臨床工学技士など多職種の連携により患者さんのQOLを向上させることが求められるようになりました。本研究会では、多職種の方々にお集まりいただき、活発な発表や議論をすることで各施設の治療レベルの向上を目指したいと思います。
各施設の皆様においては、一つでも多く演題を発表して頂き、一人でも多くの方が参加して頂き、参加された方が一つでも多くの新しい知識を持って帰れるような研究会にしたいと思います。そのため、各施設より少なくとも一つの演題を出して頂き、この会を活発な会にしたいと思いますので、何卒、宜しくお願い申し上げます。
令和5年8月吉日
当番幹事 伊與田 義信
医療法人 勢風会 津みなみクリニック